転勤族サウナ愛好家の小規模な生活

関西出身の熊本在住サウナ愛好家。大学進学でおんせん県、就職し彩の国→かごんま→くまモン県と津々浦々と渡り歩く。二児の父らしい。日々あったことをつらつらと書き連ねていきます。

江戸から続く歴史ある秘湯はまさに霊泉、寒の地獄温泉

大分県の中西部に位置する九重町(ここのえまち)。阿蘇と隣接し、町域各地に温泉が湧出しており、小規模ながらも温泉地が形成されている。そんな九重町でも名湯と名高い9つの温泉地をまとめて九重九湯と銘打たれている。その九重九湯を構成する1つである寒の地獄温泉。寒の地獄という名の通り、14〜13度の冷泉が毎分2100リットル以上噴出する日本でも珍しい温冷交互浴が味わえる秘湯中の秘湯である。

 

寒の地獄温泉

住所…大分県玖珠郡九重町飯田高原

電話…0973-79-2124

営業時間…冷泉は7月~9月末限定の営業。冷泉に入る場合には水着着用(レンタル有り)

水曜日定休日

入浴料…700円

公式ホームページ

http://kannojigoku.jp

 

寒の地獄温泉の歴史は古く、江戸末期の嘉永2年開湯したとのこと。開湯伝説によると、猟師が狩りの途中、一匹の傷を負った猿が水に浸かっているのを発見し、「この猿は水に浸かり傷を治しているのでは?」と気付き、そこから村人の手によって湯船が築かれたのが始まりとのことであり、古くから現代まで脈々と伝統が受け継がれている。旅館自体は昭和3年に創業したようで、囲炉裏など古き良き日本の原風景を感じられる造り。

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f:id:DDDtenkinzoku:20190908232508j:image寒の地獄温泉にライドオン!温泉は冷泉を薪で沸かしており、横の小屋から煙がモクモクと立ち上る)

入口から由緒ある雰囲気がプンプンとしてきて、否が応でも期待が高まる。何せ、冷泉に入るためには1年でも7〜9月末までに来ないと入れないからである。つまり、シーズンを逃せば来シーズンまで待たなければならない。これが寒の地獄温泉の価値を一層引き立てているのだろう。冷泉を薪で沸かした温泉や家族湯は年中利用出来るようだが、やはりここは何としてでも冷泉で温冷交代浴を味わいたいものだ。

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f:id:DDDtenkinzoku:20190909000129j:image(旅館に流れる小川も冷泉であり、硫黄の影響か川底が真っ白!)

仄かに香る硫黄の匂いと冷泉の成分で真っ白になった小川、秘湯を守る会の提灯が目に入り、一気にテンションが上がる。どんな感じの冷泉が待っているんだろうか…と訪れた人は間違いなく期待に胸を踊らせるだろう。

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f:id:DDDtenkinzoku:20190909214336j:image(冷泉の前には幼児用のプールが。プールは無料で利用可能なのも家族連れには嬉しい限り)

700円を支払うと入り方が書いた紙を渡される。最初に冷泉→ストーブで暖をとるという入り方がスタンダードらしい。冷泉の成分で2分ほどは刺すような感じがするが、3分も入れば慣れると記載あり。刺激があるという一文にシングルの水風呂を体験した僕でも少し緊張する。ちなみに、店員さん曰く、冷たいのが苦手な人はストーブ→冷泉でも問題ない様子。「昔の人は焚き木で温まってから冷泉に入ったみたいですよ!」との説明で完全に江戸から続く日本の古式サウナだと確信する。大分県は鉄輪温泉のむし湯といい、古来から脈々と受け継がれてきた場所があるから素晴らしい。そもそも、古来の風呂は蒸し風呂のようなものだと聞くし、温泉と日本の古式サウナはリンクしていたはず。だからこそ、温泉とサウナは相性が良いのだろう。そんなことを考えながら、水着に着替えていざ寒の地獄温泉へ!

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f:id:DDDtenkinzoku:20190908232552j:image(公式HPより抜粋。写真の通り、湯船の底まで真っ青。とめどなく注ぐ冷泉を飲用出来る。冷たいのに口当たりは滑らか)

浴場に入り、少し緊張しながら足をつけると「あ、これ温まらないと確実にあかんやつや…」と確信し、急いでストーブ室へ。巨大なドラムストーブが鎮座し、ゴーッ!!!とガスが燃える音が凄まじい。乗ったことはないが、蒸気機関車の動力室はこんな感じなんだろう。サウナー心理的にストーブの上に石のせてロウリュ出来んかな?と想像してしまう。十分に温まってから冷泉へ。毎分2100リットル以上の噴出+泉質からか14〜13度以下に感じるくらいキンキン。ウェルビー福岡の強冷水水風呂より冷たく感じるが、刺すような感じは無く、まごう事なき源泉に入っているという感覚。1回目は2分程度でギブアップし、2セット目へ。さっきより頑張って入ろうとするものの、4分程度で身体が根を上げる。凄いぞ、寒の地獄温泉!冷たさは体験した中で最高クラスだ。
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f:id:DDDtenkinzoku:20190908232542j:image(ドン!と部屋の真ん中に鎮座する巨大なガスストーブ。部屋には◯◯分入れました〜みたいな落書きが沢山あり、施設も容認している。下のストーブは訪問日には稼働しておらず)

結局、ストーブ→冷泉を4セット繰り返して外気浴をしていると、普段のととのう感じとは違い、芯からポカポカしてくる感覚に包まれる。また肌が非常に柔らかくツルツルした感じがずっと続く。この辺は源泉ならではだろう。流石、冷泉ならぬ霊泉と言われるだけの効能だ。

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f:id:DDDtenkinzoku:20190909221024j:image(プールで遊ぶ娘と眺める息子。いつか寒の地獄温泉と湯らっくすのMAD MAXをお見舞いしてあげたい)

ストーブ室には訪問客の落書きがビッシリで、冷泉に1時間入った!なんて書いてある強者も。落書き用のマジックが置いてあり、店員さんに聞くと施設も容認しているようだ。ありがとうございました、と書き残して外に出ると我が子達がキャッキャとプールで遊んでいた。

将来、一緒に寒の地獄温泉に来てくれるかなぁ…と少しパセティックな気分になりながら、霊泉を後に。

7〜9月末までと非常に短期間での営業だが、温泉好きだけでは無く、サウナ好きにも是非訪れて欲しい秘湯であった。