転勤族サウナ愛好家の小規模な生活

関西出身の熊本在住サウナ愛好家。大学進学でおんせん県、就職し彩の国→かごんま→くまモン県と津々浦々と渡り歩く。二児の父らしい。日々あったことをつらつらと書き連ねていきます。

今は亡き嘉島サウナはまさに伝説のサウナだった!?

僕が何度か記事にしてきた熊本の田迎サウナ。完全無人営業という色んな意味で令和の時代にあるまじきスタイルを貫き通すアングラ系ハードコアサウナ。ゴリゴリに入りにくい外観、玄人好みするサウナや館内とは裏腹に常連さん達が非常に気さくで優しい(とは言っても全員汗流しカットなのだが…)

そんな田迎サウナとライバル関係だったサウナがある。その名も嘉島サウナ。熊本の嘉島町にあった既に閉店しているサウナだ。嘉島サウナ、声に出して読みたくなるサウナの名前。田迎サウナとライバル関係だったという部分も非常に気になる。

 

僕が嘉島サウナの話を初めて聞いたのは、とある日の田迎サウナでのこと。サウナに入っている常連さんの会話で「嘉島サウナが今あればどんなかな?」「あそこは色々あったからなぁ」などと聞こえてきて、はて?嘉島サウナってあったかな?気になるな〜なんて思ったが、日々の忙しさにより記憶の片隅に追いやられていた。

 

そんなこんなで月日は流れ、ホームサウナである湯らっくすに行き、メディテーションサウナでヴィヒタ水をロウリュすると、先に入っていた若者から「お兄さんいいっすね、葉っぱの水は香りが違いますからね〜」と話しかけられたため、意気投合しサウナトークに。僕が田迎サウナも最高ですね〜と言うと「田迎サウナ知ってるってことは嘉島サウナ知ってます?田迎サウナより水風呂良かったんすよ!」と忘れかけていた嘉島サウナの名前が出てきたではないか。

 

ここぞとばかりに嘉島サウナの話を教えて欲しい!と彼に凄む僕。まるでサ道で蒸しZを探す原田泰造の様だ。目をギラギラさせながら聞く僕を無碍にすることもなく彼は笑顔で言った。「田迎サウナの常連さんが喧嘩して嘉島サウナを作ったんですよ。親父によく連れて行かれました!素晴らしいサウナでしたね〜」と。

 

彼の話をまとめるとこうだ。

・とある出来事で田迎サウナの常連さん同士が二分されるような派閥が出来た

・片方の派閥が反田迎サウナ派に

・反田迎サウナ派の1人が田迎サウナに対抗する意味を込めて嘉島町にサウナを作る。店名は地名から嘉島サウナ

・田迎サウナばりに熱々のサウナ室

・水風呂は田迎サウナ以上のクオリティで光がキラキラと反射する水風呂だった

・結局は閉店してしまい、嘉島サウナの名前は田迎サウナの常連さんくらいしか知らないのでは?

掻い摘んで書いたが、これだけでも想像してワクワクしてくる。まず、非常に優しい田迎の常連さん達が揉めるくらいの出来事って何だ?そして、喧嘩してサウナ作るってあり得ないぞ。最早ギャグじゃないか。田迎サウナより綺麗な水風呂ってめちゃくちゃ気になる。

 

情報を教えてくれた彼には深く御礼をしたところ「田迎サウナの常連さんに聞けばわかるかもですよ!」と有り難い情報が。湯らっくすで情報を仕入れて2日後には自然と田迎サウナに足を伸ばしていた。全ては嘉島サウナを知るためだ。

 

いつも通り500円玉を無人の集金箱に放り込み、サウナへ。僕より先に入っていた常連さん二人組。70歳くらいだろうか?少し強面だが「こんちは!」と威勢の良い挨拶が。これも普段通りの景色で嬉しくなる。僕も元気に挨拶を返し、話のオープニングとして田迎サウナの水風呂はいいっすね〜とジャブを打つ。「だろ?ここの水風呂は飲めるけんね」「持って帰ってコーヒー沸かしたら美味か〜。兄ちゃんは近くに住んどると?」などと返してくれる。しめしめ…と思いつつ、軽く雑談をしてからここぞとばかりに1番聞きたかった質問を。「そう言えば、嘉島サウナって知ってます?」

 

この質問をした時に常連さん2人組の顔色が少し変わったのは気のせいだろうか?妙な間が空いた後に1人が口を開いた。

「あれは揉めに揉めて出来たサウナだったけん、行く人と行かない人が別れたなぁ」少し重みある口調だったため、しまったなぁ…と思ったが、もう1人の常連さんが「でも、水風呂もサウナも良かやった。あんたも行っとったろ?」と助け舟。(以下、A、Bとする)

A「いや、俺は田迎派やけん、田迎が好きや」B「嘉島サウナも良か水風呂やったけどなぁ」A「◯◯さん(鈍り強くて聞き取れない)が作ったんやけど、あの人嫌いやったけん、行きたくなかった」

どうやら常連Aさんは田迎派だった様だ。Bさんはフラットな立ち位置だったのかな?色々と想像を膨らましているとBさんが「確か10年くらい前に潰れたよ。嘉島のイオンに行く途中の浜線バイパス沿いにあったかなぁ。水風呂は本当に良くてね。田迎サウナより広かったよ。キラキラって輝いてたし、サウナも120度、いや140度はあったな!」と貴重な情報が。しかし、140度は盛りまくりな気もするが…Aさんは最後まで「嘉島より田迎やけん。あんな汚いとこ潰れるわ」と田迎派ゴリゴリな感じだったが、嘉島サウナの情報がまた一つ掴めたのである。

 

常連さん達に御礼をし、田迎サウナを後に。家に帰る道中に脳裏に浮かぶのは嘉島サウナのことばかり。存命ならどんなサウナだったんだろう。どの場所にあったんだろう。一つ情報を掴む度に謎が深まる。今は亡き嘉島サウナの亡霊を追いながら、これからの僕は熊本サウナライフを過ごしていくのかもしれない。