熊本県の中央部に位置する宇城市。八代海に面していることから、かつては天草諸島への入口として栄えた歴史があり、一部が港湾史跡となっている。世界遺産の構成資産の一つである三角港がその代表例であり、八代海に浮かぶ蜃気楼の一種である「不知火」が有名な土地だ。そんな宇城市にあるなごみ温泉やすらぎの湯。全国的にも珍しい100%源泉の天然にがり冷泉が味わえる銘店だ。
なごみ温泉やすらぎの湯
電話…0964-47-5533
営業時間…11時〜21時30分
入浴料…大人 550円
小学生 330円
ホームページ…https://www.nagomionsen.com
なごみ温泉やすらぎの湯は3号線に面しているため、如何にもロードサイドのスパ銭といった感じを最初は想像していたが、何処となく田舎の温泉旅館といった趣き。大箱でおしゃれというよりは数寄屋造りを思わせる雰囲気の良さ。湯治に来たという感覚に浸れる。
(お風呂は全て源泉掛け流し。水風呂は天然にがり冷泉の掛け流しという贅沢さ。公式サイトより転載)
源泉掛け流しと書かれた湯船に浸かるとあら不思議。キュンと締まる感じがありつつ、滑らかに肌を潤す感覚も味わえる。看板に奇跡の温泉と書いてあり、塩化泉だから仄かに香る硫黄と漂う湯の花。これは温泉だけでもかなりレベル高い泉質だ。公式サイトを見ると毎分300ℓという豊富な源泉が3つも噴出しており、ナトリウム、マグネシウム、メタケイ酸などを豊富に含むらしい。なるほど、だから肌が潤う感じが凄いんだ。この泉質が550円で味わえる熊本のポテンシャルの高さに驚くばかりだ。
(広々としたメインサウナにはオリンピア製ガスストーブ。これだけでなく、中温サウナという塩サウナ、露天にはスチームサウナも設置。公式サイトより転載)
サウナは男女とも3種類あるのも心憎い。メインのサウナは雛壇3段で15人以上は座れる広々スペース。90度そこそこの室温だが、反射熱も中々あり、バシッとくるしっかりとした熱さを味わえる良いサウナだ。ウレタン製のサウナマットも使い放題なのも嬉しい。
メインサウナが少しキツく感じる人は中温サウナこと塩サウナを利用すればいいだろう。まさしく中温といったセッティングで粒の大きい塩を身体に擦り込むとツルツルだ。露天風呂にあるスチームサウナもモクモクとスチームが漂い芯から温まる良きスチームサウナ。常連さんは温度計に水を掛けてスチームを大量発生させる裏技を使うのだが、このフィーバータイムが堪らないセッティングになるため、是非味わって欲しいスチームサウナだ。
水風呂は内湯、露天風呂にそれぞれあり、内湯は4人ほどの広さで、露天の水風呂は10人は入れる大きさ。ここの水風呂の素晴らしさは源泉にがり冷泉を100%掛け流していること。湯の花が浮かぶ冷泉に入るとキュッと肌が締まるのを感じられる。20度ほどだが、それがまた冷泉のポテンシャルを引き立てている。これは温泉、冷泉と素晴らしい。もしチラーで冷やしたら堪らないだろうな。
ちなみに、公式サイトによると天然にがりとはマグネシウムやメタケイ酸が豊富であり、美肌効果に役立つのはもちろん、毛髪や爪を強くしたりする効果もあるらしい。恐るべし天然にがり冷泉。鉄分や硫黄っぽい温泉独特の香りはするのだが、それも身体に良さそうではないか。何にせよ、源泉掛け流しのにがり冷泉の水風呂が味わえること自体が全国的に貴重だと思う。
源泉掛け流し温泉、にがり冷泉水風呂、3種類のサウナ。地方の温浴施設とは思えないレベルが高い施設のため、宇城市に行く機会があれば是非立ち寄りたい銘店だ。