熊本は阿蘇の小国町にある杖立温泉。大分県との県境に跨る温泉地であり、阿蘇地域の最奥に位置するため九州の奥座敷との異名も持つ。一説によると杖の助けを借りてやってきた人が、湯治により健康を取り戻し、帰る時には杖無しで帰るということから杖立という名が付いたらしい。また河川を跨いで大量に群れをなす鯉のぼりも名物の土地だ。そんな杖立温泉にある泉屋。日本古来の蒸し湯が味わえる純和風旅館である。
住所…熊本県小国町下城4179
電話…0967-48-0021
営業時間…立寄入泉 9時〜20時
入浴料…大人 500円
子供 300円
男女日替わり。箱蒸し風呂の石の湯は奇数日に女性、偶数日に男性。蒸し風呂のある大浴場は奇数日に男性、偶数日に女性。
ホームページ…https://izumiyaryokan.co.jp
(軒先にはむし風呂保存会の提灯に地獄蒸しの竈門が。玉子やさつまいもなど食材を持参するだけで無料で利用出来る)
外観、内観とも明らかに純和風旅館といった佇まい。創業140年という風情溢れる感じ。古代伝承蒸し風呂保存会の提灯と和傘が入口に佇む。店の外には温泉の蒸気を利用した地獄蒸しが無料で利用出来る。温泉に入ってる間に好きな食材を蒸しておくのがオススメだ。
(純和風旅館という名に恥じない館内のレトロ感が素晴らしい。温泉成分表も何処となく味がある)
日替わりで男女入れ替えであり、箱蒸し風呂と水風呂付きの石庭風呂は偶数日に男湯になり、蒸し風呂と露天風呂の大浴場は奇数日になるため、好みに合わせて日を選んで行った方が良いだろう。
(男女入れ替わりで蒸し風呂のある大浴場と箱蒸しのある石の湯で入れ替わる。大浴場には露天風呂あり、石の湯には水風呂あり。写真上が石の湯、下が大浴場。公式サイトより転載)
浴場入ってすぐにある源泉掛け流しの風呂はかなり熱い。45度オーバーしてるかもしれない。というのも、源泉が90度近いため、熱々の状態。反対に超音波風呂というジェットバスは源泉掛け流しだが、湯船に注ぐまでの距離を取っているため丁度良いお湯加減。メタケイ酸が高めでしっとりくる泉質が心地良い。露天スペースはかなり小さめだが、川のせせらぎと源泉が掛け流され湯船から溢れる音、硫黄の香りが如何にも温泉地に来たという感じ。
(それぞれ蒸し風呂、箱蒸し風呂が設置。箱蒸し風呂は別府温泉でもメジャーな入浴スタイルだが、日本で味わえる場所は限られる。公式サイトより転載)
蒸し風呂は3人ほど寝転べるスペースのものが2部屋。屋根裏部屋のような仄暗いスペースに光の加減で揺らめく蒸気が何とも言えないムードを醸し出す。寝転べるように人工芝が敷いてある。構造を確認すると、人工芝の下に源泉が流れ、その蒸気でスチームサウナにしている。源泉温度が高いからこそ出来るシステム。
確かに古式の和風サウナだ。入浴文化が出来る前にはこうして日本人は温泉を楽しんでいたのだろう。大の字で寝転ぶのが良いと書いていたため、大の字でゴロン。熱々というわけでないが、じっくりとゆっくりと蒸される感じ。寝転んでるため、足先、指先まで気持ち良く蒸されるのが良い。
箱蒸し風呂の方は漂う仄かな硫黄の匂いを帯びた蒸気に包まれる。箱の中に入っているため気持ちはまさにふかし芋。体の奥まで蒸気がしっかりと温めてくれる感じが心地良い。石の湯にしかない水風呂は地下水掛け流し。5人ほどのスペースで阿蘇の地域特有のクリア感が素晴らしい水質。
日本古来の和式サウナといっても良い蒸し風呂。由緒ある和風旅館でじっくりと味わってみては如何だろうか。