2019年も残すところ、あと僅か。今年の目標であった長野県のThe sauna、無料チケットが当選した東京のラクーアなどにも行けたし、本当に充実したサウナライフであった。しかし、一つ忘れてはならない施設がある。その名も八代センターサウナ。尊敬するサウナーであるウ◯さん、タ◯オンさん、ダ◯さんなど諸先輩方が訪問され、かなりの衝撃を受けた施設である。
特にウ◯さんは「あそこ行ったら大体の場所は大丈夫と思えるくらいになりますよ!」との助言とも脅かしにも取れるインパクトあるコメントがあり、こいつは2019年のうちに必ず訪問しないと!と決意を固めた次第である。
1人で訪問しようとした日は生憎の定休日。1人で行くより友達と行った方が面白くないか?と考え直し、サウナフレンドのTームラ氏に声をかけて一緒に突撃。(ちなみに、彼は熊本トップクラスのアングラ系サウナである田迎サウナにも行ったことがない。田迎をすっ飛ばして八代センターサウナに潜入する彼から緊張感がバリバリと伝わってきた)
潜入調査により、色々とインパクトある事実が判明したため、ここから詳細を記していきたい。
八代センターサウナ
電話…0965-31-0052
営業時間…16時~22時
定休日…水曜日
入浴料…1500円
※これから出てくる写真は全て撮影許可を得ています
(八代センターサウナへライドオン!)
24時間営業と看板にあるが、実際には16時〜22時まで。自慢のネオンはもちろん灯が灯らない。この辺は田迎サウナと共通している。熊本のアングラ系サウナはネオンの灯を付けたらダメな決まりでもあるのか?
(二階へ続く階段の踊り場から見下ろす八代センターサウナ。見るからに渋い)
八代センターサウナはマンションの一階部分にある。マンションも昭和の団地感がプンプン漂う激渋さ。隣には潰れた居酒屋さん。二階には空きテナントの数々。かつて賑わいを見せていたことが容易に想像出来る。三階より上は住居となっており、未だに暮らしている住民の方々がいることが窓から漏れる灯でわかる。
一応、マンションの横に看板があるが、バキバキになっている時点で廃墟感が凄い。マンション最上部にもセンターサウナと看板が。ただし、ライトアップされてないため意味を成していない。昔はこの看板を頼りに来た人もいたのだろう。ちなみに、スナックゆきこ、ヒュウトンは既に閉店しており、1番朽ち果ている八代センターサウナが営業しているという不思議な事態である。
(フロントには大将の私物が散乱。これまた激渋)
入店すると直ぐにフロント。灯が点いていないため、店員不在か?とT氏と訝しげると暗がりの奥からタバコを吹かした大将が。「あら、いらっしゃい」と声をかけるも、表情からこんな時間に若者2人が入店とは…という感情が読み取れる。1500円の入店料を支払い、靴を下駄箱へ。かなりの数の下駄箱があるが、ほとんどが使用中になっており、どこに入れていいか悩んでいると「誰もいないから使用中でも空きだよ」と大将。なら使用中という文字は空きに直しておいてよ…ロッカーの鍵と館内着、タオル、バスタオル、歯ブラシを貰い脱衣所へ。
(現在では使っていない二階の休憩室)
二階は休憩室のようで昔は雑魚寝の宿泊などもしていたそう。24時間営業の時代は酒、フードを提供していたが、人件費がかかり却って儲けが少なかったとのこと。二階に上がっていいですか?と伺うと「ダメ!」と一括。決して上がらせない二階の休憩室。羊?の絨毯が壁にかかる脱衣所。呪いか何かで中から飛び出して来そうだし、1人で夜に見たら中々怖い。
(ロッカー。この写真だけでどういう場所かお分かり頂けるはず)
ロッカーは完全にホーンテッドマンション系。一朝一夕じゃ出せない壁などのシミ。ソファのような長椅子が置いてあるが、汚れから座る気が失せる。鍵が閉まらないロッカーもあるが、客がいないため、防犯にそこまで気にしないでいいのだろう。現に館内にいくつか監視カメラがあったが、「モニターが壊れて映らねぇんだ!」と豪語する大将。機能を果たさない監視カメラ。最高じゃないか。
脱衣所には焼肉のタレ、マグロのタレ、ラッキョウなどが置いてあり、常連さんが持ってくる様子。いい感じに漬かったラッキョウだったため、すごいですね〜と声に出すと「そのラッキョウはまずいからいらないんだ!食わない方がいい!」と大将。正直な人だ。
大将のキャラが一気に好きになり、雑談していると「田迎サウナも良いサウナだな。昔はよく行ったよ。熊本市にサウナライオンってのもあってな。もう潰れたけど。ワシはもう心臓病だからサウナには入れないから、田迎も久しく行ってないな」と様々な情報が出てくる。八代センターサウナに認められる田迎サウナの凄み。またライオンというサウナがめちゃくちゃ気になるぞ…嘉島サウナに次いで調べないといけないじゃないか…
(浴場は思いの外、綺麗。ロッカーには常連のお風呂セット)
大将との雑談を一区切りし、浴場へ。脱衣所や外観からは想像出来ない綺麗さ。間取りは鶯谷のサウナセンターに似ている。同じような時期に出来たのだろうか?当時の流行りのスタイルっぽく感じる。浴槽は3つあるが、2つしか機能してなく、うち1つは水風呂。「蛇口ひねって水好きなだけ出して良いからね!」と大将の声が聞こえてくる。とりあえず、お言葉に甘えて水風呂の蛇口をひねってオーバーフローにしてから、身体を洗う。カランのシャワーからは水しか出ないため、お風呂のお湯を使って洗体。カランは時間かかる!と言われたが、どれくらいかかるかわからないため、お風呂から洗うのが良いだろう。
(綺麗な水風呂と広々したサウナ。昭和ストロングなセッティング)
湯に軽く入ってから、お待ちかねのサウナへ。30人は入れる広々したサウナ室。オリンピア製ストーブが鎮座し、湿度が低い100度オーバーのカラカラ系昭和ストロングスタイル。フィンランド式サウナこそ正解で日本式は間違いという理論を言う人がいるが、その理論で言うと八代センターサウナは間違いの類だろう。しかし、これもまた素敵で良いサウナであることは疑いの余地はない。カラカラ系が苦手な人はキツイと思うが、僕は1発で気に入った。雛壇はストーブ前が一段、対面が二段。ストーブ前に座るとジリジリと灼かれる感じが堪らないし、大量に発汗出来る。
水風呂は17度くらいか?深さもしっかりあり、蛇口からオーバーフローしているため、非常に心地良い。一緒に行ったT氏は「湯らっくすより冷たく感じる」と言ってたが、確かに水深が湯らっくすより浅いし、オーバーフローがジャブジャブだから、そう感じてもおかしくないと思う。外観から考えられないクオリティの水風呂だ。
(八代センターサウナ名物サウナじゃがいも。実は正体は…)
サウナ室へ入って気になったのはサウナストーンのような物が転がっていること。ウ◯さん達がじゃがいもと言ってたのもわかる。じゃがいも?サウナストーン?と考えていると大将がダウンジャケットを着た状態でサウナ室へ入室。そのまま一段目に腰掛け、我々に話しかけてくる。あんた、心臓病ちゃうんかい…
「実はこのサウナは天井が低過ぎたから高くしたんだよ。頭打たないようにね。雛壇の板も新しくしたし、ボイラーも今年70万で新調した。20年前はこのサウナも満員になることが多かったよ。今はダメだね。ワシで3代目だけど、いつから経営してるんだろうね?50年くらいになるのかな?」と過去の思い出話に花を咲かす。もし譲ってくれ!と言う人がいたらどうします?と振ると「喜んで譲る!」と二つ返事。サウナ経営に興味ある方はチャンスだぞ。
色々と話した後に、このじゃがいもは?と本題を。「それは炭を固めたもの。消臭効果、殺菌効果があるから、浴場にも置いてるよ」と大将。なるほど、炭がサウナで灼かれてじゃがいもみたいな見た目になったのか!浴場を見てみると確かにじゃがいもが設置。じゃがいもというより灰色だったため、元はそういう色なんだろう。いつからサウナに設置してるの…間違いなく取り替えてないよね…と疑問が湧くが気にしない方が得だ。
「熱い熱い。サウナ入ったらダメなんだ」と言い汗だくになりながら退出する大将。ダウンを着ながら5分近くお喋りしてくれた大将の心意気。プライスレス。
浴場から上がり、良いサウナと水風呂でした!伝えると、大将曰く夏場でも地下水だから温度は変わらない。しかも、飲めるとのこと。かなりクリアな水風呂に慄く。大将は常連から貰ったプチトマトを頬張っており、「八代はトマト美味いけん、食え!」と薦めてくるため、一つ頂くと確かに美味い。なんだよ、このハートフルな感じ。冬場にはここには書けないあり得ないお裾分けがあるそう。
入ってわかったのが、八代センターサウナは超ド級ローカルハードコアアングラ系昭和ストロングスタイルサウナ。かなり躊躇するが、入ればわかる。熊本、いや日本に残された最後の聖域かも知れないサウナだった。