宮崎県えびの市。えびの高原や韓国岳などの火山性高原で形成され、数々の温泉が噴出する地域。そんなえびの市に聳える白鳥神社。霧島六社権現の1社に数えられる古社であり、かつては島津氏から崇敬を受けていた。そのほど近くにあるのが白鳥温泉 上湯 下湯であり、西郷隆盛や与謝野鉄幹、与謝野晶子夫婦などが訪れた由緒ある温泉であり、温泉地ならではの素晴らしき古式蒸しサウナが体験できる場所だ。
白鳥温泉 上湯 下湯
住所…上湯 宮崎県えびの市末永1470
下湯 宮崎県えびの市大字末永
電話…上湯 0984-33-1104
下湯 0984-33-3611
営業時間…7時~20時
入浴料…大人(中学生以上) 310円
小学生220円
ホームページ…http://shiratori-onsen.com/wp/
上湯は征韓論に敗れた西郷隆盛が下野した際に三ヶ月間逗留したと記録がある。西郷さんは非常に気に入ったようで、知人にこの地の風光の良さを綴った手紙が見つかってるそうだ。
(えびの市の盆地を見渡せる露天風呂。公式HPより転載。)
内湯、露天風呂と地獄蒸しに別れており、まずは内湯と露天風呂へ。えびの高原の高台にあるため、露天からの見晴らしは良し。えびの市は加久藤盆地というカルデラのため、綺麗に街並みが見渡せる。泉質はとろみはないが、ほのかに硫黄の香りが鼻をくすぐる。内湯、露天風呂で西郷さんに想いを馳せながら、お目当ての地獄蒸しへ。
内湯、露天とは違う離れのような小屋にあり、1度服を着てから備え付けのスリッパを履いて行くスタイル。小屋に近づくにつれて硫黄の臭いが濃くなるのを感じる。
(情緒溢れる地獄蒸し。公式HPより転載)
脱衣所から浴場に入ると大きな水風呂。その脇には身体を流す用の温泉が大きなポリ樽に溢れている。水風呂は配管から井戸水+蛇口から飲用可能な水道水がオーバーフロー。これは期待が高まる。地獄蒸しの入り方を見ると、浴場にあるバケツに水を汲んで入り、その水を床にぶちまけると温泉の蒸気が下から噴出するらしい。
掘建て小屋のような地獄蒸しに入ると天井が低く、足元から蒸気が湧き出る。恐らく下に温泉が配管で通っているのだろう。かなり強い硫黄の匂い、ガンガンに熱い蒸気。バケツの水を撒くと更に蒸気が。足元から来て天井が低いため、身体全体がバチバチに熱くなる。爪先から頭まで余すことなく温まるし、硫黄の成分と香りが更に発汗を促してる気がする。別府の鉄輪むし湯でも感じたが、昔の人は温泉から湧き出る蒸気を上手に利用していたのがわかる。めちゃくちゃ良い日本の古式スチームサウナだ。
オーバーフローが強烈でキンキンに締まった水風呂は地獄蒸しとの相性良し。そのまま脇のベンチで休憩出来るのも嬉しい。西郷さんが水風呂と地獄蒸しの交互浴をしたかはわからないが、「霊境の温泉は世縁を洗う 」と詠んだことから西郷さんも間違いなく地獄蒸しで癒されたのだろう。
地獄蒸しから上がると地獄見物と看板が。試しに行ってみると、山肌から湯煙がモクモクと噴き出す。確かにこの様子は地獄のようだ。
上湯に続いては下湯の方へ。上湯から程近くにあり、こちらはキャンプ場、ケビンやレストランが併設されている。
(上湯より広々とした内湯と露天。公式HPより転載)
浴場は上湯より広々で露天も広々。泉質は上湯より湯の花が多く浮かんでいる。源泉は同じはずなのに不思議だ。
蒸し風呂は上湯と同じシステムの温泉の蒸気が下から吹き出してくる。5人ほどのスペースで温度は上湯のが高いが、小窓から入る明かりが雰囲気が良い。浴場に降りる階段の下のデッドスペースに設置されているため、何処となく秘密基地感あり。押入れの中とかでかくれんぼした少年時代に帰る気持ちで入る。
水風呂も同じく階段下のデッドスペースにあり、打たせ湯のように上から水が注がれる。まさにプチMAD MAX。上湯の水風呂とは違いまったりした水質。露天スペースが広々してるため、外気浴メインで噛み締める。
上湯は西郷隆盛が訪れたそうだが、下湯は与謝野鉄幹、与謝野晶子夫婦が訪れたそうで、下湯に因んだ詩を詠んだそう。歴史上の偉人たちに愛される白鳥温泉。体験してみると確かに素晴らしい日本の古式サウナだ。
温泉から上がり併設のレストランで宮崎牛カレーを食べてフィニッシュ。
宮崎といえば、プロ野球のキャンプや地鶏、マンゴーなどにスポットが当たることが多いが、是非えびの市にも訪れ、偉人たちに想いを馳せながら素晴らしき古式蒸しサウナを味わってみては如何だろうか。