前回の記事でも記載したが、日本有数の温泉地である別府温泉。古くから庶民の生活に温泉が根付いてきた土地であり、数々の泉質の温泉が湧く湯の街だ。そんな別府温泉で体験出来る激熱の温泉蒸気を利用したスチームサウナがある。その名もみかゑり温泉。決して綺麗でオシャレでスタイリッシュとは言えないが、強烈な温泉の蒸気を浴びせられる熱々の蒸し湯は体験すべきクオリティの高さだ。
※当記事の浴場の写真は全て撮影許可を得ております
みかゑり温泉
電話…0977-66-1186
営業時間…10時〜22時
入浴料…300円
(みかゑり温泉外観。年季の入った佇まいから何処となくアングラ感も漂う)
鉄輪地区でも温泉宿などがある地域ではなく、どちらかと言うと住宅街の中にひっそりと佇む。暖簾や看板の年季の入り方からかなりの月日が経っているのが容易に想像出来る。受付には猫のイラストやオブジェが雑多に置かれて、お世辞にも綺麗とは言い難いが、知り合いの家に来たような安心感がある。店の奥から毛艶の良い三毛猫が出てきたのを見て店主が愛猫家なのを確信。
(暖簾を潜り敷地内へ。家族湯や別府名物の地獄蒸しも設置。裏手のボイラーからは湯煙が轟々と立ち上る)
受付を済まして中庭を通り、浴場へ。中庭には地獄蒸しが出来る釜や家族湯、子供の遊べるスペースなどがあり、花壇にはラベンダーなどが植っている。猫好きで園芸好きな店主なんだろう。想像だが、きっと裁縫とかも好きなはずだ。
(中庭を抜けると浴場へ繋がる。お世辞にも綺麗とは言い難いが、給湯口にビッシリとこびり付いた温泉成分が掛け流しである何よりの証明。左側の広い方が温泉で右の小さい浴槽が水風呂。脱衣所にあるストーブもレトロで可愛らしい。※撮影許可あり)
浴場に入ると如何にも昔から営業している公衆浴場という感じ。年季の入り方が渋さを更に醸し出す。正直なところ、清潔感が気になる人もいると思うが、個人的には昔の別府の公衆浴場ってこんな感じだったなと懐かしさすら感じる。何処となく郷愁を感じながら湯船へ。泉質はほのかなトロミと鉄輪温泉特有の硫黄臭。熱湯なのも嬉しいし、やはり鉄輪温泉の泉質はピカイチだ。
(コンクリートで出来た蒸し湯。温泉の蒸気を利用している仕組み。中は蒸気に覆われて目の前が真っ白で熱々の状態。まさに地球のロウリュ。※撮影許可あり)
さて、いよいよお目当ての蒸し湯へ。コンクリートで出来ており、怪しげな雰囲気すら漂う。何というか屋根裏部屋的な感じだ。入ると縦長の12名程度は入れる作り。雛壇一段で木材は杉?それともヒバ?作りとしては杖立温泉の泉屋の蒸し湯にそっくりだ。
しかし、ここの蒸し湯の凄いところはスチームの威力!足元から常に唸りをあげる蒸気。熱々で雛壇にも座れないくらいのセッティング。水に濡らしたタオルを敷いて座れたが、直接はまず無理だ。そして足元から来るため、指先から頭の天辺まで逃げ場がないくらい蒸気に晒される。恐らく室温も相当高いだろう。寝っ転がれるように木製の枕もあるが、寝てしまうと全身火傷するんじゃ?と思うくらい熱々。熱過ぎてドアを開放して室温を少し下げたくらいのセッティングだった。
同じタイプだと宮崎の白鳥温泉が足元から温泉の蒸気を利用していて、かなり熱くて良いスチームが来ていたが、みかゑり温泉は白鳥温泉すら凌ぐ。しかも、温泉の蒸気を利用しているため、硫黄や温泉の成分の匂いが強烈で、しっとりと肌を潤す。これは過去味わった中で1番のスチームサウナだ。まさか別府で味わえるとは…いや、流石の別府と言った方がいいか。鉄輪むし湯のような日本でも珍しいスタイルの古式サウナに続いて、こんな素晴らしい蒸し湯がある別府のポテンシャルの高さ。流石、湯の街であるし、これぞ別府の懐の深さだ。
水風呂は2名入れればいいくらいの極小スペース。蛇口から水が掛け流しされているが、配管の関係で水が温泉で温まっているため、水温は25度ほど。はっきり言ってかなり高い水温だが、これが熱々の蒸し湯の後に妙に良い感じにフィット。
蒸し湯という温泉の蒸気を余すことなく、如何に活かして利用するかを考えた結果として素晴らしいクオリティの和式スチームサウナが出来たと考えると感慨に浸らずにはいられない。別府で絶対寄るべき驚愕の和式サウナを是非体感して欲しい。