鹿児島県は大隅半島の西部に位置する錦江町。海と山の自然豊かな土地であり、プレミアム焼酎として著名な魔王の蔵元がある土地でもある。そんな錦江町にある梅乃湯。令和から一気に戦前にタイムスリップしたような歴史を感じられる銭湯だ。
電話…0994-22-1408
営業時間…15時30分〜20時30分 日曜定休
入浴料…大人 300円
子供 120円
※本記事の写真は撮影許可を得ております
(入口から味と趣が溢れ返る。店主不在時には料金を置いていくスタイルが田迎サウナを彷彿させる)
外観から明らかに年季が凄く入っている香りがプンプン。恐らく戦前から営業しているのであろう。調べてみると100年以上営業しているらしい。ということは大正時代からということか?always三丁目の夕日の世界が広がる様な外観に心を躍らせて入口を潜ると番台には誰もおらず。どうしたもんか…と思っていると張り紙が目に入る。番台に不在なら料金を置いてからご自身でジェットバスを入れてくださいとの文字。
とりあえず、入浴料を置くと女湯から「あら、いらっしゃい!ゆっくり入っていってね!」と60くらいの旦那さんが。恐らく店主だろう。凄く風情ある銭湯ですね、写真撮ってもいいですか?と聞くと「うちみたいなボロボロな所なんて良いところ一つもないよ!好きなだけ撮ってよ!」と非常に気さくに接して頂く。
(陳腐な表現になるが、エモさしかない浴場。何故か出入り口にはアントニオ猪木の引退時の詩が)
脱衣所に入ると戦前までタイムスリップしたかのよう。まるでここだけ時が止まっているようだ。常連さんのお風呂セットや古い週刊誌が放置。いいねぇ、こういう雰囲気大好きだ。熊本の田迎サウナに匹敵する味。渋い、渋過ぎる。
浴場は決して綺麗とは言えないが、とにかく味がある。いや、味しかない。
(鹿児島のローカルデパートである山形屋の看板にバクレス式オゾン浴泉の看板。味が溢れ過ぎて郷愁を誘う)
黄色の看板にラジウム温泉と赤字でデカデカと書かれた文字に山形屋デパートの看板。円形の浴槽はジェットバス付き。上部にバクレス式オゾン浴槽と看板が。ラジウム温泉は緑色で恐らく人工泉。昔はこういう浴場が地域の人のコミュニティになってたんだろうな。一気に令和から古にタイムスリップ。こういう場所は一朝一夕では作れないんだよ。
(個人用のような小さいサウナに水風呂。このこじんまりした感じもまた渋い)
サウナは2人用でメトス製ストーンストーブ。明らかに年季が入り過ぎているが、それが良い。カラカラ低湿で85度ほどの室温。今まで何人の手練がこのサウナで汗を流してきたのだろう…そんなことを考えながら汗を流す。
水風呂も2人用の広さで蛇口から掛け流し。クリアな水質でパキッとした感じ。肌感で18度ほどであり、充分にクオリティの高い水風呂だ。しかしながら、この年季の入り方ゆえの味と渋さは流行りの映えサウナには確実に無い味であり、こういう施設が未だ営業してるのが嬉しくなる。
失礼な表現だが、恐らくこういう銭湯は向こう10年続けられる可能性は低いと思う。営業しているうちに体験すべきだし、営業してくれることに心から感謝したい。令和の世に残り続ける歴史の重さ…サウナ好き、温泉好き、銭湯好きは必ず訪れるべき名銭湯であった。